ヨガの種類と違いとヨガ流派の歴史

ヨガとは

ヨガにはたくさんの種類がありますね。それぞれの違いを説明したいと思います。ヨガの種類は大きく分けて、「古典ヨガと現代ヨガ」や、「静的なヨガと動的なヨガ」に別れます。ヨガの流派は、「ラージャヨガ」という古典ヨガと、「ハタヨガ」という現代ヨガの2つに大きく分かれます。

ラージャヨガ

ラージャはサンスクリット語で「王様」の意味を持つので、ラージャヨガは「王のヨガ」とも呼ばれます。「ヨーガ・スートラ」というヨガの経典に書かれている「アシュタンガ(8支則)」に従い、瞑想でサマーディへと至ることを目指しています。紀元前2世紀頃に体系化されたという説があります。

ラージャヨガの特徴

ラージャヨガは「瞑想のヨガ」とも言われます。スワミ・ヴィヴェーカナンダ師曰く「ラージャ・ヨーガはインド人ならではの精神科学であり、集中の研究である」とのこと。インテグラルヨーガを書いた、スワミ・サッチダーナンダ師も「ラージャヨガは心の科学であり、心を制御することがラージャヨガの主題である」と言っています。

ラージャヨガの瞑想は、通常の瞑想に加えて「ヴェーダ瞑想」があります。

1.シュラヴァナ…師の教えを聞き、理解する。
2.マナナ…聖典の意味を熟考し、自分を客観視し、体験を通して理解を深める。
3.ニディディヤーサナ…日常生活の中でさらに熟考し、瞑想を深めること。
4.ギャーナ…悟り。思い込みを手放し、師の教えが自分の智慧として身に付く。

ラージャヨガは、「アシュタンガ(8支則)」に従い、心を純粋にし、肉体を鍛錬することで、深い瞑想を導き、自身の霊的成長を促すことを目指しています。最終目標は、カイヴァルヤ(何物にも依存せず、自立した状態)です。

ラージャヨガの有名人

スワミ・ヴィヴェーカナンダ(1863年1月12日~1902年7月4日)

インドの国民的英雄。ヨガとヴェーダンタ哲学の指導者。人間を4つのタイプ(精神分析的、宗教的、活動的、哲学的)に分類し、それぞれのタイプに合うヨガとして、ラージャヨガ(心身統一の道)、バクティヨガ(信愛の道)、カルマヨガ(実践の道)、ジニャーナヨガ(智慧の道)を示しました。彼は、動的な「ハタヨガ」を否定する立場を取っています。

バクティヨガ

バガヴァットギーターで紹介されている。バクティとは、サンスクリット語で「信愛」「絶対的な愛」という意味をもつ。

神さまや、自分が信じている師、自分自身へ絶対的な愛や行動、思考などすべてを捧げる、いわば信仰的なヨガ。インドでは最も広く知られているヨガのひとつ。

カルマヨガ

今、目の前にあることを一生懸命に行い、その結果に執着しない生き方を実践していくのが教え。「行いのヨガ」とも言われる。行為そのものには良い悪いはなく、原因があって結果がある、自分が行った行為が結果をまねくという考え。

ラージャヨガは、出家したバラモン(司祭)が行うヨガだったのに対して、カルマヨガは、庶民が行うヨガとして広まった。バガヴァットギーターの中で、「純粋な自分に戻るための方法はすべてヨガ」だと説かれている。

ジニャーナヨガ

ジニャーナヨガは「知識のヨガ」とも言われます。身体や身の回りの物すべての物には意味がなく、あるのは真我のみとし、哲学的なアプローチでサマーディ(悟り)に至ることを目的としており、「経典」「理由」「経験」を基本原則としています。

アーサナは行わないが、「ジニャーナ・ムドラー」という手のポーズをとり、呼吸法を使って瞑想します。苦しい、悲しいといった自分の感情を切り離す精神的な作業を行っていく。瞑想により精神面を鍛え、真の知性、知識に到達することを目的としたヨガ。

クンダリーニヨガ

人間の体の中にある根源的な生命エネルギーである、クンダリーニを覚醒することを目的としたヨガ。クンダリーニヨガは「気づきのヨガ」とも呼ばれる。クンダリーニとは、サンスクリット語で「螺旋を有するもの」という意味。クンダリーニ・エネルギーは尾骨あたりに存在していて、人間の体には7つあるといわれるチャクラを通じて体を巡ると考えられている。

クンダリーニの通り道である背骨を柔軟にし、活性化するために、ヨガのポーズ(クリヤ)や、呼吸法(火の呼吸)、マントラ(音のヨガ)などを行う。

マントラヨガ

サンスクリット語で「マン」は(思考)を指し、「トラ」は(守る)(解放)の意味を持ちます。マントラは、自己の解放と、解放された自己を守る為のものです。

マントラヨガは「唱えるヨガ」と言われ、音節やフレーズの言葉を、心の中または声に出して行います。マントラヨガは、マントラを唱えた時の振動(バイブレーション)を使って、心身を共鳴させ、心身の不調や乱れを整えて浄化していきます。

アーサナをしながらマントラを唱える方法などもある

インテグラルヨガ

インテグラルヨーガは、シュリー・スワミ・サッチダーナンダ師が名付けたヨガの流派です。

インテグラルヨーガは「統合のヨーガ」とも呼ばれます。人間の持つ身体的、情緒的、精神的、知的、社会的な側面のすべてを内包しています。インテグラルヨーガは、古典ヨガ、特にラージャヨガをベースにしています。ラージャヨガの本来持つ性質は統合的で、スワミ・サッチダーナンダ師は著書で、「インテグラルヨーガはラージャヨガと少しも異なるものではない」とも述べています。

インテグラルヨガの特徴

 

 

インテグラルヨガの有名人

スワミ・サッチダーナンダ(1914年12月22日2002年8月19日

スワミ・サッチダーナンダ師は、1914年12月22日に、南インドの小さな村で生まれ育ちました。農業、科学、工学を学んだ後、家業のオートバイ輸入などの他、様々な分野で働いていました。28歳まではごく普通の生活を送っていました。結婚して2人の息子がいましたが、結婚して5年後に妻が亡くなります。

その後、スワミ・サッチダーナンダ師は、古典ヨガの習得のため、禁欲的なヨギの生活に移ります。初期の頃は書物で学び、インド中を巡り、ラーマクリシュナ教団のスワミ・チドバーヴァナンダや、ラーマナ・マハリシ、シュリー・オーロビンドゥなどの聖賢のもとで修行していました。1946年に、ヒマラヤの聖地リシケシで、シュリー・スワミ・シヴァーナンダ師と出会い、1949年に、師から「スワミ・サッチダーナンダ」という名前を与えられます。

1950年代後半から1960年代にかけて、スワミ・サッチダーナンダ師は、スワミ・シヴァーナンダ師の元でスリランカでヨガを教えていました。1966年に、アーティストのピーター・マックスに請われて渡米し、「インテグラル・ヨガ・インスティチュート」を創設しました。

その後の活動の拠点はアメリカとなり、多数のハリウッド俳優や西洋のミュージシャンに大きな影響を与えました。

2002年8月19日に師は亡くなりますが、アメリカを拠点とするインテグラルヨガは、世界中に支部を持つ大きなヨガ流派となっています。

↓インテグラルヨーガ

ハタヨガ

ハタヨガは、ポーズ(アーサナ)と呼吸法が中心の行法です。サンスクリット語で「ハ(HA)」は太陽、「タ(THA)」は月を意味します。太陽は「陽(+)」月は「陰(-)」で、ハタヨガは陰陽のバランスを重視しています。「ハ(HA)」は吸う息、「タ(THA)」は吐く息を示します。

ハタヨガは、10~13世紀が起源とされ、ゴーラクナートやマッチェンドラナートらの聖者によって創設され、16~17世紀になって、スヴァートマーラーマによって、ハタヨガの経典である「ハタ・ヨガ・プラディーピカー」が書かれました。

ハタヨガには「ゲーランダ・サンヒター」「ハタ・ヨガ・プラディーピカー」「シヴァ・サンヒター」という、三大教本があります。

ハタヨガの特徴

「ハタ・ヨガ・プラディーピカー」の冒頭に、ポーズ(アーサナ)を行う目的は、瞑想を行う為だと記されています。ポーズが習得できているかどうかの判断基準は、「安定して快適」であるかどうかだといいます。

「ハタ・ヨガ・プラディーピカー」は、4章から構成されています。

第1章 アーサナ(ポーズ)
第2章 プラーナヤーマ(呼吸法)
第3章 ムドラー
第4章 ラージャヨーガ

ハタヨガの有名人

ゴーラクナート(ゴーラクシャナータ)(10~13世紀頃)

ハタヨガの開祖。10~13世紀に活躍したと言われているが、詳しいことは分かっていない。「ハタ・ヨーガ」「ゴーラクシャ・シャタカ」という2冊の経典を書いたと伝えられている。

スヴァートマーラーマ

ハタヨガの経典「ハタ・ヨガ・プラディーピカー」を書いた人物。

マッチェンドラナート

ゴーラクナートの師。

ビニヨガ(ヴィニヨガ)

ビニヨガ(ヴィニヨガ)とは、別名「クリシュナマチャリアのヨガ」とも言い、その名の通り、クリシュナマチャリア師が提唱しているヨガスタイルです。クリシュナマチャリアは、1924年にインド青年の体力増強を目的とした学校「ヨガシャラ」をインド マイソールのマハラジャの城の中に設立しました。エクササイズとしてのヨガの原点となります。彼のヨガは「ヴィンヤサ・クラマ(ビニヤサ・クラマ)」と呼ばれました。

ビニヨガ(ヴィニヨガ)の特徴

クリシュナマチャリア師のヨガは、ヒーリング要素が強く、自身も「ヨガはメスを使わない手術」と説いています。患者一人一人に処方されたヨガセラピーで、相手の不調に合わせ、呼吸法、ポーズ、瞑想、マントラ、食事、考え方、ジェスチャー、ビジュアライゼーションなどを指導していく。プライベートレッスンが中心。

ビニヨガ(ヴィニヨガ)の有名人

ティルマラ・クリシュナマチャリア(1888年11月18日~1989年2月28日)

アイアンガーヨガ、アシュタンガヨガの創始者2人を育てた「現代ヨガの父」。太陽礼拝を体系化し、呼吸と運動を組み合わせるヨガのスタイル(アシュタンガヨガ)の基礎を作った人物。すべてのインド哲学の学位を取得し、ヨガを一般的に広めるために、多くの啓発活動を行いました。ヨガに関する4冊の本を書いたとされています。すぐれた指導者を育て上げたことでも有名です。

chaki

オーディオエンジニアリングの勉強の為、NYに留学していたときに、クリシュナマチャリア師のご子息TKV. Desikachar師の著書「Heart of Yoga」と出会い、ご子息デシカチャー師の学校で学ぶ。デシカチャー師のヨガセラピーで健康を取り戻したのをきっかけに、指導者として本格的に学ぶことを決意。最高資格を取得した。

アイアンガーヨガ

B.K.Sアイアンガー氏によって体系化されたヨガ。従来の伝統的なヨガに解剖学や心理学を取り入れている。肉体と精神のリラクゼーション、体の歪みを正すことを目的としている。正しい姿勢、ポーズの順番、「プロップス(補助道具)」を使うところに特徴がある。まっすぐに立つ姿勢(ターダーサナ)を基本とし、正しい呼吸と正確な姿勢を守り、ゆっくりとアーサナを行う。

アイアンガーヨガの特徴

アイアンガーヨガでは、正確な姿勢を保つために、プロップスを使用して体を支え、体に余計な負荷をかけないようにします。プロップスは、ブロック、クッション、ストラップ、ベルトなどがあります。

アイアンガーヨガの有名人

B.K.Sアイアンガー(1918年12月14日~2014年8月20日

アイアンガーヨガの創始者。全世界で数百万人の弟子がいる、世界で最も尊敬されているヨガ指導者の一人。「ハタヨガの神髄」他多数の著書がある。タイム誌の「世界で最も影響力のあった100人」にも選ばれた。クリシュナマチャリアに師事。

↓ハタヨガの神髄

柳生直子

B.K.Sアイアンガー氏に直接指導を受けた。1980年に、日本人では初めてインドのアイアンガーの道場で学び、世界共通の上級指導員の正式資格を取得した。日本のアイアンガーヨガの第一人者。

↓B.K.Sアイアンガー氏との共著

アシュタンガヨガ

「近代ヨガの父」と称される、ティルマライ・クリシュナマチャリア氏が基礎を考案、その弟子のシュリ・K・パタビジョイス氏によって確立されたヨガです。

アシュタンガヨガは「ヨーガスートラ」の中に書かれている実践部門「アシュタンガ(8つの枝)」を基に、現代人にも分かりやすく学べるように改善したものです。正式名は「アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ」

アシュタンガヨガの特徴

呼吸に合わせてダイナミックに体を動かしながら、流れるように決められた順番にポーズを行っていくのが特徴。アシュタンガヨガのアーサナは6つの難易度レベルに分かれています。

鼻から吸って鼻から息を出す「ウジャイ」という胸式呼吸を行います。

アーサナを行う時は、意識を集中させるために、視点(ドリシュティ)を定めて行います。

筋肉の締め付け(バンダ)を意識してヨガを行う。バンダには、会陰にあるムーラバンダ、へそ下にあるウディヤナバンダ、喉にあるジャーランダラバンダの3つがあります。この3つのバンダを「バンダトラヤ」といいます。

アシュタンガヨガの有名人

シュリ・K・パタビジョイス

「アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ」の創始者。シュリ・K・パタビジョイス氏は、1948年に「AYRI(アシュタンガヨガ・リサーチ・インスティテュート」を設立、アシュタンガヨガについての著書「ヨガ・マーラ」を出版されています。クリシュナマチャリアに師事。

↓ヨガ・マーラ

ケン・ハラクマ

「IYC・アシュタンガヨガジャパン」主宰。
シュリ・K・パタビジョイス氏より直接指導を受けた。

タリック・ターミ

「マイソール東京」主宰。
シュリ・K・パタビジョイス氏とその孫シャラートより直接指導を受けた。
アシュタンガヨガ指導者の最高位サーティファイドティーチャー。

シャラス・ランガスワミ

シュリ・K・パタビジョイスの孫。12歳から祖父の指導を受ける。
現在のアシュタンガヨガ組織のトップ

沖ヨガ

日本人の沖正弘が考案したヨガ。ハタヨガや、ラージャヨガ、ジニャーナヨガ、カルマヨガなど古典ヨガをベースにし、中国の陰陽道、日本の禅、神道、東洋医学や民間療法などを組み合わせて体系化しました。

沖ヨガの特徴

アーサナの他に、浄化法、修正法、整体、丹田強化、自然食、武道、呼吸法、禅、瞑想、鍼灸、東洋医学などがある。

修正法では、病気になっても、体は自然にバランスをとって、健康回復へと向かうと考えます。人間の持つ自然治癒力をサポートするという考え方です。

沖ヨガの有名人

沖正弘(1921年-1985年)

日本のヨガの草分け的な存在。幼少時は病弱な体質だった。第二次世界大戦中、諜報機関員として活躍する。1951年に、ユネスコ平和建設国際奉仕団日本代表として訪れたインドでヨガに出会う。帰国後、1958年に「日本ヨガ協会」を創立。1967年に静岡県三島市に道場を開き、求道ヨガ(別名:沖ヨガ)と命名。ヨガの指導・普及につくした。

龍村修(1948年~)

藤村ヨガ研究所所長であり、NPO法人沖ヨガ協会理事長。学生時代にヨガに出会い、1973年に沖ヨガ道場に入門し、沖正弘の内弟子になる。その後、沖正弘と共に世界数十か国を来訪、ヨガの指導にあたる。沖正弘の没後、沖ヨガ修道長を務め、1994年に独立した。

シヴァナンダヨガ

西洋医学の医師である、スワミ・シヴァナンダが、西洋医学とヨガを体系的にまとめ考案した。1957年以降に、スワミ・シヴァナンダの弟子である、スワミ・ヴィシュヌ・デヴァナンダ氏が欧米に広めた。現在は、カナダに本部がある。

シヴァナンダヨガの特徴

体位法、呼吸法、リラクゼーション、瞑想法、食事法などから、トータルに心身のバランスを整えていく。

 

 

アヌサラヨガ

「アヌサラヨガ」は、比較的新しいヨガ流派で、「アイアンガーヨガ」が元となっています。1997年に、ジョン・フレンド氏がタントラ哲学と融合させて考案しました。その哲学は、生きとし生けるすべてのものに「善」を見出すというもので、物事を肯定的にとらえるのが特徴です。

 

 

 

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